VANTECH V670
スタディモデルから1年半の月日が流れ、ついに量産タイプがお披露目となりました。これからのバンテックのフラッグシップカーとなっていくV670は、これまでのバンテックのモーターホームとは違った製造方法を取っているのがかなり印象的です。
※その製造方法は、事前に完成間近の状態を取材することができたので、概要のオマケとして別に紹介する予定。
ボディラインは見て分かる通り、ドアやサイドスカートまでもが一体でデザインされたもので、よくあるキャンピングカー用の既存パーツはまるで利用されていない。そのため、エントランスドアやバゲッジドア、スライド収納庫などのヒンジ類も、すべてV670用に専用設計されたものが取り付けられています。
ボディラインを美しく見せるためだけでなく、ウインドウが面としてボディからはみ出さないよう、そして取り付けが平面できっちり行なわれるよう埋め込みになっているのも、車体デザインを損なわないようにした結果。
デカール類はかなり凝ったグラデーションのシールを貼っていますが、これは多分ショー用に用意されたものではないかと思われます。発売モデルでそれが再現されるかどうは不明ですが、全体的な流麗なボディラインの素性の良さは崩れないでしょう。
室内に目を向けると、まず飛び込んでくるのがフロントシートの対座機構。これはベース車両であるフィアット・デュカトであることを考えれば当たり前の装備ですが、国産車ベースでは得られない絶対的なアドバンテージで、ダイネット空間の開放感は通常のキャブコンの比ではありません。
天井は高く、新しい曲面デザインのオーバーヘッドキャビネットの装備により、室内空間をより広く見せる効果があります。さらにそれらキャビネットには、そこここにLEDライトが仕込まれ、全体的に優しい間接照明で室内を照らしているのが、いかにも現代のモーターホームの雰囲気です。
エントランスドアにはウインドウがあり、このウインドウはスイッチ1つでスモークタイプになり、車外から見えなくなります。通常はカーテンが必要ありませんが、明かりは若干外に漏れるので、人によってはこの辺りをどう考えるかといったところでしょう。
このエントランスドアも既存品ではなくて、ボディに合わせた幅広の専用品。なんとサイドドアビームが埋め込まれ安全面に十分配慮された作りとなっているのは、モーターホームとしてかなり先進的な部分といえます。
最近のバンテック社製モーターホームの傾向として、常設ベッドの寝心地にこだわりがあるのですが、現段階でマットなどの仕様は明らかになっていません。今後ブラッシュアップされる部分か、ユーザーの好みに合わせるかと言った造りになるのかもしれません。
キッチンの反対側には大型の冷蔵庫が用意され、新型と思われるそれは上部冷蔵室に大型の冷凍庫を内蔵し、下部の引き出し部分には2リットルのペットボトルやワインボトルなどが立てて収納できるストッカー的な要素を持っています。
シャワー&トイレルームには、最新式の陶器ボウルのカセットタイプが設置されて広さもまずまず。シャワーノズルと洗面用の蛇口が別々に用意されているので、一体型より格段に使いやすい設定になっています。
装備類では、今や国産モーターホームでは当たり前のように言われる国産ルームエアコンの装備をし、大きく重量のある室外機は独自に細工した後に横倒しにして車両中央部分フロア下、フレームの中に上手く落とし込んでいます。
FFのラダーフレームモデルだからこそできた手法ですが、走行安定性や乗り心地に直接大きな影響を与える部分も、徹底して低重心化しています。
大きさ、グレード、品質、そしてベースが輸入モデルであることと合わせて、国産キャブコンの新しい世界を切り開いたことは間違いなさそうです。
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